2011年6月8日水曜日

オギュスタン・ベルク講演会 -風土と縁起と天災・人災-

東北大学大学院国際文化研究科主催・日仏会館フランス事務所と仙台日仏協会・アリアンス・フランセーズの共催にて、フランス国立社会科学高等研究所(EHESS)教授:オギュスタン・ベルク/Augustin BERQUE氏の講演会を行います。

2011年6月27日
16時30分~18時

会場:東北大学川内北キャンパス
    教育・学生支援部大会議室

入場無料
言語:日本語



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十数年の在日経験を持ち、
東北への縁深いベルク氏の今回の講演テーマは、
風土と縁起と天災人災

地球上の人間世界 (「風土」Umwelt) は歴史的に人間と自然との相互作用(「縁起」)によって構築された具体的な現実であり、客体として与えられた自然環境 (Umgebung) ではない。かかる現実においては、純粋科学の条件であった抽象的な二元論が通用しない。「風土」の歴史性を尊重し、現実の「風土性」・「通態性」を認めた風土論のほうがより有効性があるだろう。「風土」においては、人間と自然は対立してはいないし、お互いに相-対的でさえない。それよりもむしろ、「相待的」であるといえる。しかし、ヨーロッパ近代はそれを無視し、人間と自然の「縁起」を一方的な物体関係に還元した。それにもかかわらず、事実上は人間と自然との相互作用が廃されたわけではないのである。現在もなお、人間と自然との「縁起」のひとつの表現である天災と人災との間の関連は「風土」の現実であり、それを無視すれば危険性は増加していくばかりである。それを認めたうえで、人間存在の構造契機である風土性を再発見しなければならない。〔講師による原文に基づく〕


『Milieu, co-suscitation, désastres naturels et humains 』

Dans la relation de l’humanité à l’étendue terrestre (l’écoumène), l’humain et le naturel sont interdépendants. La nature n’est pas cet objet qu’y a vu le dualisme moderne. Celui-ci fut la condition fondatrice de la science pure, mais il ne peut pas saisir la réalité de l’écoumène, qui est trajective, i.e. naissant dans la co-suscitation de l’humain et du naturel. Pour saisir cette réalité s’impose une mésologie respectueuse de la trajectivité des milieux humains, qui s’exprime notamment dans la synergie des désastres d’origine naturelle et de ceux d’origine humaine. La modernité, à l’inverse, a réduit cette co-suscitation et à des effets de causalité matérielle unilatéraux. Il importe d’en redécouvrir la logique, car ignorer celle-ci augmente indéfiniment les risques.


【講師略歴】オギュスタン・ベルクAugustin Berque

1942年生まれ。1969年パリ大学地理学第三課程博士号を取得。1977年パリ大学文学博士号(国家博士号)を取得。東北大学理学部(地理学)客員研究員。北海道大学講師などを経て、1984年から88年まで東京日仏会館フランス学長、1999年から2001年まで宮城大学客員教授を務めた。フランスにおける日本学の第一人者と看做されている。現在、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)教授。


震災による大きな傷を受けた日本・東北の人と風土、その現在とこれからを考えるまたとない機会となることでしょう。ぜひご聴講くださいませ。